蛙化現象という言葉を聞いたことはありますか? 初めて聞いたという人や、もしかすると実際に自分が体験したという人もいるかもしれません。今回は、そんな蛙化現象が起こる理由や実際のエピソードについてご紹介します。
蛙化現象(かえるかげんしょう)とは、好意を抱いている相手が自分に好意を持っていることが明らかになると、その相手に対して嫌悪感を持つようになる現象を指す言葉です。
Wikipedia:蛙化現象
2020年に入り、若い世代(主にZ世代)を中心に別の意味でつかわれるようになります。「恋人や恋愛感情を抱いている相手(主に男性)のささいな言動を見て幻滅」という意味で、SNSで非常にバズリました。
蛙化現象という名前は、グリム童話「カエルの王子様」が由来になったと言われています。
蛙の姿に変えられていた王子様が元の姿に戻り、王女様とハッピーエンドを迎えるという「王子化現象」を題材にしたストーリーです。
一方、蛙化はその逆。魅力的だと思っていた人が蛙のように生理的に嫌悪感を抱いてしまう心情の変化に着目し、「蛙化現象」と名づけられました。
2020年代、tiktokなどのショート動画が流行りはじめ「恋人の蛙化現象あるある」として中高生が動画で発信したことがはじまりです。
2023年の若者が選ぶ流行語では堂々の1位にもなりました。
今では恋愛やカップルのあるあるとして、切っても切り離せない言葉になりました。
本来の蛙化現象の意味に沿って特徴を伝えると、「相手を追いかけているが状況が好きな人」はこの現象に陥りやすいです。
彼女たちは片思いのドキドキしている瞬間が好きなので、相手から好意が見えてしまうと途端に興味がなくなってしまいます。
両想いは非常に嬉しい状況なのに、恋愛への価値観が変化している令和では「あるある」になるのでしょう。
自己肯定感が低い人も蛙化現象を起こしやすいです。
相手が自分のことを好きになったことを自覚すると、次に「彼が私のこと好きになるはずない……」といった形で相手の感情に否定的になります。
両想いを素直に受け入れることができないため、好きな彼に対し拒絶してしまうというケースですね。
Z世代の「恋人(主に男性)の嫌な面を見て幻滅」という視点で見ると、相手への理想が高い人が蛙化現象になりやすい人の特徴に当てはまります。
彼を好きになった当初や両想いになった時、恋愛がはじまったことへの嬉しさで彼への理想がどんどん膨らんでいきます。
実際に彼を知る機会が増えると、勝手に抱いていた理想と現実のギャップに陥り、幻滅して気持ちが冷めてしまいます。
恋愛経験が少ない人は、相手から好意を向けられることに慣れておらず、素直に気持ちを受け取れないことが多いため蛙化現象になりやすいです。
また、スキンシップに慣れていないことも蛙化現象を引き起こしやすい原因に挙げられます。
手を繋いだり、ハグをしたりと恋人ならではの行動を現実で取られると、思った以上に距離感が近く嫌悪感を抱きやすくなります。
蛙化現象になりやすい人は、承認欲求が強い特徴を持っていることが多いです。
自尊心が高く、恋愛においても周りから羨ましいと思われたい願望が人一倍強いため、相手のダサい行動や理想とは異なる状況を絶対に許せません。
たとえ初対面で好印象を持っても、思ったよりハイスペックじゃないと分かれば、相手への興味関心が薄れてしまうことも良くあります。
大好きだと思っている相手と両想いになった途端気持ちが離れてしまう蛙化現象は、一種の防衛反応とも言われています。
自分に自信がなく傷つくことを恐れている人は、付き合うと無意識のうちに「フラれるのが怖い」「いつかは別れるんだから」というマイナスな気持ちがどんどん強くなるのです。
相手に別れを告げられるくらいなら自分から離れた方がマシだという考え方を持っているのがこのタイプの特徴で、まだ何も起こっていないのに日頃から別れる理由を探して離れる準備を進めてしまいます。
過去に辛い恋愛をした経験やトラウマを持っている人も蛙化現象になりやすいです。
浮気やモラハラなど、許しがたいトラブルに一度巻き込まれると、次の恋愛でもまた同じようなことが起こるのではないかと不安になります。
たとえ新しい恋人から優しくされても「どうせ皆にしているんでしょう」と疑ってかかるように……。
そのうち素直に相手を信じられず一喜一憂する自分に疲れ、相手への気持ちが冷めて蛙化現象を引き起こしやすくなるのです。
「好きな人から告白されたくて、色々な手段を使って告白してもらえるようにしました。そしてお付き合いできたんですが……
付き合い始めてから、なんで付き合っているのかわからなくなるという意味が分からない状態になってしまったんです。
せっかく夢が叶ったのに意味がわからないなって思ったけど、これが蛙化現象ってやつですよね。片思いの時の熱が相手から告白されたことで冷めてしまったようです」(22歳/大学生)
「この間、ずっと片思いをしていた相手から告白されました。本当なら嬉しいと思うはずですよね……?
でも私は、相手に対して『気持ち悪い』という感情を抱いてしまいました。きっと相手の良い部分だけ見て、理想の恋人を描いていたからかもしれません。
告白された時に一緒に食事をしていたのですが、店員さんに対してタメ口だったのもダメだったのかも。礼儀がなっていない男性が嫌なんだなって実感した出来事でもあります」(26歳/美容師)
「待ち合わせの場所で、彼が私を探している姿を見て、探し方や仕草にちょっと引いてしまった自分がいるんです。
SNSであとから同じようなシーンで蛙化現象したってコメントしている人がいて、あのときの私って蛙化現象だったんだって実感しました。」(20歳/学生)
「大学生の頃に付き合っていた彼氏がいました。付き合い始めてからしばらくして彼氏が手をつなごうとしてきたんです。その時に、反射的に手を引いてしまいました。
『なんで急に触ろうとするの!?』とキレてしまい、相手はそれにドン引き…… それから数日後に別れることになってしまい、自分の行動や言動を反省しています」(27歳/会社員)
「ずっと好きだった彼に告白して念願のカップルになれたのですが、付き合った途端彼の気持ちがどんどん私より強くなっていったことが負担に……。
元々追いかけるのが好きだということも原因だと思うのですが、友達や趣味の予定を入れる前に私のスケジュールを聞いて、全て私優先の行動を取る姿にげんなりしてしまいました。
愛されることは幸せだと言いますが、私は付き合ったあとも振り回されるくらいがちょうどいい気がします。(19歳/専門学生)
「高校生のとき、イケメンでみんなかっこいいと噂している学校の先輩と2人でごはんに行けることになったんです!
ずっと楽しみにしていたのですが、対面で食べているとくちゃくちゃと音が聞こえてきて不快な気持ちに。しかも食べながら話すので口の中まで見えて最悪でした。
あんなにかっこいいと思っていたのに、その日以来全く魅力的に思わなくなってこれが蛙化現象なんだと実感しました!」(27歳/会社員)
「付き合う前は、頼りになる男らしいイメージだったのですが、恋人になった途端普段とは違う甘えん坊みたいな喋り方が気になるようになりました。
ある日、デートでスーパーに寄ったとき荷物を持ってくれたのですが、『これは重たいから持てないよね?』と子ども扱いするような一言にイラッ……。
なんだか見下されているような気持ちになって冷めてしまいました。」(29歳/医療関係)
「初めて彼の家にお邪魔したとき、サブスクで映画を観ることに。
どれにするか悩んでいると、やたらと少女マンガ系の恋愛ものばかりを進めてきて趣味が合わないと感じて少し冷めました。
その後、好きなYouTuberの話に。知らない名前だったので、アカウントを開いて1つ観てみると、完全に炎上系の内容で全く笑いのツボも私とは違うと確信して別れました。」(29歳/会社員)
これらが蛙化現象のエピソードの一例です。実際に体験している人も多く、珍しいことではないと言えるでしょう。
恋愛経験が少なく蛙化現象を引き起こしやすい人は、日頃から異性とコミュニケーションを積極的に取っていきましょう。
映画や漫画の世界のように、現実には完璧な人は存在しません。異性の友達の行動を見ていれば、「なんか違う」と思っていた言動だって意外と普通だったと気付くことができます。
ただし、既に恋人がいる場合は、むやみに異性と仲良くするのはNG。浮気を疑われたり嫉妬されたりして、さらに蛙化現象が起こりやすくなってしまいます。
蛙化現象の簡単な治し方は、一人で溜め込まず友達に相談することです。頭の中で悶々と考えていると、なぜかマイナス思考になりやすいです。
一方、言語化して友達に何か嫌だったか話すと、意外と大したことではないと気付いて気持ちが軽くなることが良くあります。
また、共感してもらえば何か解決策が見えてくることも。蛙化現象で別れる前に、まずは友達に話して前向きな意見をもらいましょう。
何か些細な行動が気になったとき、一度原点に立ち返ってみるのも蛙化現象を治すコツの1つ。
「彼のどこを好きになったんだろう」と最初に意識し始めたときの気持ちを思い出してみましょう。
思い出せないときは、過去のLINEの内容や写真を見て振り返るのがおすすめです。
初心に戻り、当時の気持ちを思い起こすことで、受け入れられなかった行動が些細なことだと捉えられるようになるかもしれません。
蛙化現象は、関係が深くなっていつの間にか自分の理想を相手に押し付けていることが多いです。
恋愛では、あんなところもこんなところも嫌、と減点方式で相手を見定めるのではなく、彼の長所に目を向けることだって大切です。
不安やトラウマからネガティブになる人も、蛙化現象を引き起こしやすいですよね。恋愛においてすぐにマイナス思考になってしまう人は、恋愛以外のことにも目を向けてみましょう。
趣味や推し活、友達との時間など、人生には恋愛以外にも充実できるものがたくさんあります。
何かに没頭していると、彼のことばかり考え落ち込む時間が一気に減少し、あれこれ気になっていたことがすべてどうでも良くなるかもしれません。
また、彼と過ごすだけでなくさまざまな人と触れ合うことで、「異性はこうあるべき」という無意識な固定観念が払拭され、高すぎる理想が少し落ち着くこともありますよ。
蛙化現象について調べてみると、実際の体験談が数多く見つかります。
「もしかして自分だけおかしいのかな」と思っていたかもしれませんが、大体の人が1度は感じたことのある現象なので気にする必要はありません。
恋愛するたびに蛙化現象が起こってしまうという方は、自分自身を認めたり、相手の好きになったところを振り返ったりしてみましょう。
異性に対する過度な苦手意識や高い理想を持ち続けると、自分自身の首も絞めてしまうので「人間完璧な人なんていないんだ」と割り切ることが大切ですよ!
Written by 早紀