恋愛初心者です。25歳にして初めて隣の部の男性を好きになりました。
今までは見ているだけで幸せだったのですが、最近欲が出て話したり仲良くなりたいと思うようになりました。
でも社内では周りの目が気になったりして、なかなか行動に移せません。いきなり話しかけて不審に思われるかもしれません。
どうしたら自然に話しかけられるのでしょうか?
(25歳/女性/公務員)
ご質問誠に有難う御座います。
高度経済成長期の日本において、会社というのは単なる職場ではなく「村」としての様相をなしておりました。仕事は勿論ですがプライベートも会社を中心に回り、恋愛も会社の中で行うのが当然だったと言えるでしょう。ですので、当時の会社は結婚相談所の側面も持っていたのです。
これは男性の終身雇用という考えが一般的であったことの象徴でしょう。
法律はともかくとして、当時の日本では一度採用した人間は生涯に渡り雇用するのが一般的でした。つまり会社には「終身雇用」をする義務が事実上存在したのです。
一方で従業員にはその気になれば退社をする権利が存在する。つまりこの契約は「従業員側」だけが一方的に破ることの出来る不平等条約の様相があったのです。
しかし、会社は従業員が退社をしない前提で教育をしなくてはなりません。1年で辞めてしまう社員に半年の教育は出来ませんが、40年間働くと思えば数年教育を行ってもトータルではプラスになる。ですので会社は非常に長い期間、社員に対して教育を施していたと言えるでしょう。
この状況で会社にとって最悪の展開は「教育が終わった途端に転職される」ということで御座います。教育中の社員というのは利益に貢献しないどころか、給料や教育費などを使う会社のお荷物なのです。
それでもその教育の成果を活かし数十年に渡り活躍をしてくれれば良いのですが、いざ教育が終わりこれから! というタイミングで転職でもされてしまったら、会社にとっては大損です。ですので、会社はあの手この手で社員が辞めないように工夫をする必要が御座いました。その1つが社内恋愛で御座います。
極論を言えば当時の日本の会社において「女性社員」というのは「男性社員のお嫁さん候補」という側面が極めて強かったのは間違いありません。
男性は家庭を持つことで転職や起業などの挑戦が困難になりますし、会社からすれば奥さんも顔なじみというのは男性を束縛する上でメリットになるでしょう。
男性社員を長い期間束縛できる会社。
安定した収入を持った男性と結婚できる女性。
生活からお嫁さんまで斡旋して貰える男性。
当時の日本にとって社内恋愛は三者それぞれにメリットのあるシステムだったと言えるでしょう。
しかし、良くも悪くもそのような時代は終焉を迎えました。
まず、男女雇用機会均等法が成立し、終身雇用が崩壊。この時代においては社内で恋愛をすることは会社にとっても社員にとってもデメリットの大きいものになってしまいました。
会社としても、奥さんがいる社員をクビにするのは心が痛みますし、恋愛で揉め事でも起きれば業務に差し支えます。高度経済成長期において素晴らしいシステムだった社内恋愛は、現代では即しないシステムになりつつあると言えるでしょう。
現代で同僚と恋愛をするというのは非常にハードルが高いのです。
法的な話は別にして恋愛禁止をルールに課す企業まで存在するということは、会社にとって社内恋愛が迷惑以外の何物でもないということ。それほどまでに社内恋愛を取り巻く環境は変わったと言えるでしょう。
このような状況で社内恋愛を行うとしたら、かなり入念な仕込みをしなくてはなりません。もしも何も準備せずにご質問者様がアタックを始めたら、社内の人間全員を敵にする、くらいの危機感を持った方が良いでしょう。
例えば、ご質問者様が50%の力で男性社員とコミュニケーションを取っていたとします。
その状況でその男性だけに100%の力で接したら、確実に不審がられることでしょう。ですので社内恋愛を画策する場合は他の男性への接し方も75%くらいまで上げなくてはなりません。
一人だけに力を注ぐと「あの子は最近〇〇さんに媚を売っている」となってしまいますが、全員に力を注げば「あの子は最近積極的になった」「明るくなった」という評価を得ることが出来るかも知れません。
女性の同僚からは「あの女……」となるかもしれませんが、それでもピンポイントで狙うよりはマシでしょう。ただし、残念ながら現代において社内恋愛は極めてリスキーであることは間違いありません。
特に男性にとっては非常にリスキーで、いつ「セクハラだ」と言われるかわかったものではないのです。
Written by ラブホスタッフ 上野