ノリで行ったのにどハマり!心身ともにボロボロになる【ホスト依存症】の怖さとは?

ノリのいいイケメンたちがチヤホヤしてくれるホスト。「苦手だからイマイチ魅力が分からない」って人も多いと思いますが、なぜ、あんなにハマって、大きな借金を作って、そしてOLだったのに風俗などで働きはじめてしまうのか?……気になりませんか? 気になりますよね。

実はこれも“依存”が関係しているのです。

 

ホストは仕事、分かっているのにすがってしまうのは?

前回まで、苦しい恋愛を止められない恋愛依存について解説していきました。この恋愛依存に近いものにホスト依存があります。

ホストはお仕事。自分をチヤホヤしてくれるのも、甘い言葉を囁いてくれるのもお仕事です。「俺の彼女として、応援してくれないか?」「この仕事を辞めたら一緒になろう」そんな色恋営業で心をつなぎ止めてくるホストもいるかもしれません。女性のほうも薄々分かっているのです。この目の前のホストは、自分のことを本当に好きなのではなく、仕事だから思わせぶりなことを言っているのだと。

でも、依存すると「目の前で他の女性に優しくする」「アフターや同伴デートでも女性に奢られて当たり前」「借金をさせてまで大金を使うよう仕向けてくる」など、ホストからされているひどいことや自分に沸き上がってくるイヤな感情には目をつぶり、なかったことにしてしまうんです。

「でも、○○君はこんな優しくしてくれた」「だけど、あのとき、ああ言ってくれた」といいところばかり思い出して、悪いことは消してしまおうとさえ考えてしまいます。そして、「もっとお店でお金を使えば、私たちの関係はもっとよくなるはず」「今度の誕生日に〇〇を上げれば、きっと本カノの座になれるはず」と借金してでも彼に貢いだりして、関係をどうにか維持しようとしていくようになってしまいます。

この負の連鎖にハマっていく様子は、まさに恋愛依存とウリふたつ。ホスト依存は恋愛依存のスピンオフバージョンとも言えるでしょう。ただ、ホスト依存のほうが、実は病み度が高いんです。

 

恋愛依存よりも自己顕示欲が強いホスト依存

ホスト依存に陥る人の場合、「みんなの前でイイ男を連れ歩きたい」「シャンパンタワーなどをして注目されたい」というように、周囲の人に対して「この人すごい」と思われたい心理も働いています。つまり、自己顕示欲の強さも根っこにはあるというわけです。また、ホストにはいろんなお客さんがいますが、「一番になりたい」「他の客より優位にたちたい」という思いを抱きがちな人もハマりやすい傾向にあります。

恋愛依存の女性の場合、常に彼氏に執着している状態。他の男性には目が向かないため、ホストクラブに行きたいという気持ちになる人は多くないかもしれません。でも、別れたタイミングでキャッチに呼び込まれてフラフラと入ってしまったら、たった一度でハマッてしまった……なんてことはありえる話。

前回までのコラムで、恋愛依存になる女性は根本的に自信がなく、モテないタイプが多いと書きました。しかし、ホストクラブはとても華やかな世界です。高級なお店になると、内装もシャンデリアがあったり、シャンパンのマグナムボトルが飾られていたりとゴージャスそのもの。ソファに座ると、ヘルプのホストが跪いておしぼりを差し出し、チヤホヤしてくれます。「〇〇さん、デキる女って感じですよね」なんていう甘いセリフを言ってくるようなホストも多いでしょう。

このホストの華やかな世界に比べたら、誰しも現実の生活は地味なものですよね。特に依存傾向の強い人は、普段から自信がなく、「自分なんて」と思いがち。そして寂しさを持て余しています。しかしホストクラブにくると、一時的にそして表面的ではありますが、心の穴を埋めてもらえます。お酒も入り、現実を忘れることができてしまうのです。そのため、一人になったときの寂しさがより大きく感じられ、「また行きたい」とクセになってしまう……。華やかな世界と現実とのギャップに耐えられなくなってしまう人も少なくありません。

私のカウンセリングオフィスに来られるクライアントさんにも、一人で過ごす時間の寂しさを味わいたくなくて、毎日のようにホストクラブに通ってしまうという人もいます。特に、仕事でのストレスが強く、趣味などの発散方法がない人は「ホストに行かなきゃ」という強迫観念にかられてしまうほどです。

というのも、ホスト依存になる人はある程度高収入の女性が少なくありません。キャバ嬢、経営者、風俗嬢など……。1回の会計が安くても1〜3万してしまうのですから、ある程度の収入がないと通えないですよね。元々OLでも依存が進んでいくにつれ、OLからキャバクラ、キャバクラから風俗というように職を変えていくケースも多いです。

ここまで来ると、もう冷静に自分と向かい合うことは難しいでしょう。一人の寂しい時間を過ごしたくなくて、その日のお給料を使い込み、また次の日も働いた金額全部またはそれ以上を注ぎ込んでしまうというように、負のループにハマってしまいます。心だけでなく身体もボロボロになっている状態。専門家の助けを借りて、心身ともに休みながら、依存症を少しずつ治していかなければなりません。

 

<ホスト依存チェックシート>

最後にホスト依存に共通する傾向をラインナップしてみました。

ホスト好きを自認している方は、一度チェックしてみるといいかも!

 

1.「この人の心を手に入れるためなら自分を犠牲にしてでも」と無理をしてしまう

2. ホストに通うようになり、キャバクラや風俗など、今までより稼げる仕事に転職した

3. ホストで作った借金がある

4. ホストに行っていることを秘密にしていて、聞かれると「友達と飲む」「彼氏と会う」などの噓をついてしまう

5. 貢がないと彼に見捨てられるのでは? という不安が強い

6. 最初に通いはじめた頃より、貢ぐ額が大きくなっている

 

このチェックシートに一つでも当てはまったら、すでに依存に足を踏み入れているかもしれません。

【山名裕子】

メンタルオフィス「やまなmental care office」代表臨床心理士。

大学にて心理療法の心得と技術を学び、2013年に臨床心理士の資格を取得する。主に認知行動療法によってカウンセリングをすすめ、心の専門家としてメディア出演をはじめ幅広く活動中。

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