恋愛にはさまざまな形があります。彼女がグイグイ引っ張る恋愛もあれば、彼氏が亭主関白の片鱗を見せるような関係。それぞれにメリットもあるのですが、どちらかだけが妙に発言力が強い恋愛関係って、そんなに幸せなものではありません。
あまりにパートナーに対して高圧的だったり、プライド丸出しで接していると、いずれ「あ、もうなんかめんどくさいからいいや」と思われてしまいます。
特に男性の場合、高圧的な女性に対しては、それまで必死で食らいついていても、あるとき突然糸が切れてしまったかのように飽き飽きすることも多いもの。行き過ぎた女性優位の恋愛は、なかなかリスキーと考えてもいいでしょう。
今回は、以前筆者が出会った、“レディファーストにかたくなにこだわり続けた女性たち”の、失敗の記録をいくつか紹介していきましょう。
Hさんは現在30代。都内在住の販売業の女性です。彼女は長らく彼氏を作っていません。その理由は過去の失敗にありました。
Hさんは20代の前半までアメリカで暮らしていたため、向こうでも大勢の男性と交際してきました。そして彼女は、彼らの自分に接するときの態度……つまりレディファーストの精神に感銘を受けたのだとか。
やがて日本に戻った彼女は、ほどなくして彼氏を作りますが、アメリカ人でもない普通の日本人には、そこまで気の利いたエスコートはできません。「今でこそ自分が間違ってると分かるけど、当時の私はそんな日本の男性を見て軽蔑していたよ」と話すHさん。
気が利かない彼氏に対して、ことあるごとに「欧米では~」と説教をすることも多かったとか。最初こそ笑っていた彼氏も、何度も何度もそんな話をされて愉快なはずがありません。
あるとき、いつものように日本人男性の態度にガッカリした旨を説教していたところ、彼氏から「ここは日本だろ。そんなに女性優位の男がいいならまたアメリカに行けば?」と言われてしまいました。彼氏の怒りはなかなかに根深かったようで、釈明のチャンスも得られないまま関係は終了してしまったそう。
その後にもHさんはしばしば「欧米では~」を炸裂させてしまい、気付くと何年も彼氏がいない日々を送っているのだとか。
筆者は恋愛コラムを4年ほど書いているのですが、ネタ集めの取材や合コン参加を重ねてさまざまな女性を見てきたなかで、女性優位というテーマにおいて、見逃せないキーポイントの存在に気が付きました。
しばしば、「付き合っている以上は私のことを大事にしてほしい」という意識が強すぎる女性に出会うことがあります。こういう女性って、とにかく自分が愛されているかどうかを四六時中気にしていて、恋愛をしているというよりも自分の存在価値を確認するために交際をしているように見えるほどです。
以前出会ったFさんという女性は、彼氏に毎日何度も何度も「私のことが好き?」「どこが好き?」と聞いていたそうです。本人は、それが愛し合っている男女の当たり前の光景だと思っていたようですが、筆者が「じゃあ彼氏は同じような質問をしてくる?」と尋ねると、「それはない」と即答。
それはそうです。彼氏にしてみれば、そんな意味のない会話をしてもしょうがないと思えたことでしょう。交際したからと言って、自分が何より大事であってほしいと考えるのは子供のする恋愛です。大人同士の恋愛は、もっと進歩していて当然なんですよね。
「女性優位の関係性でもいいから彼女がほしい」だなんて思って恋愛する男性はそうはいません。大多数は、日常の生活に支障のない範囲の恋愛をしようと思っているだけのことです。
そして、世界が一変するほどドラマティックな恋愛は、男性はあまり好みません。恋愛以前に日々の生活の維持が、実のところ大事だったりするものです。
女性優位の恋愛関係って、ドラマや映画ではたまに見かけることもありますが、あまりにそれに影響を受けると、男性からは露骨に嫌われる原因になってしまいます。創作の世界で繰り広げられる恋愛に、現実を生きる人たちが影響されてはダメということですね。
では男性優位の恋愛が素晴らしいのかと言えば、もちろんそんなことは決してありません。お互いを大事に思える、無理のない関係こそ、長続きする恋愛の鉄則です。この鉄則を知らないまま恋愛をしても、意味はないということです。
Written by 松本 ミゾレ