ふだん、彼氏になかなか言えない女子のホンネを歌っている歌に、西野カナさんの『トリセツ』がありますね。
『トリセツ』は、かなりヒットしたので、西野さんが歌う「女子のホンネ」に、「いや、そう言われても、男には男の事情があってだな」と歌い返す男性アーティストが出てきてもいいと思うんですが、出てこないですね。
実は出てきているんだけど、僕の耳には届いていないだけかもしれませんが……。
さて、今回は、西野さんの『トリセツ』に対する男のホンネをご紹介したいと思います。
恋愛ソングをもとにした史上初の(?)恋愛コラムというわけですが、先に断っておきます「あまりガッカリせずにお読みください」。
この本文において「**といったニュアンスの歌詞」という紹介の仕方をします。
ちゃんとした歌詞をお知りになりたい方は、ネットで歌詞を検索してくださいね。
1. 急に不機嫌になられても・・・
第69回NHK紅白歌合戦
— 西野カナ (@kanayanofficial) December 31, 2018
ダンサーの皆さんと一緒に「トリセツ」を披露させて頂きました?
ありがとうございました✨
皆さん良いお年をお迎えください‼️
スタッフ#NHK紅白#西野カナ#カナやん#トリセツ pic.twitter.com/g9gCfGGTPn
男子って、女子のなにが怖いって、急に不機嫌になられることです。
女子は女子的な体調のバイオリズムなどによって、「自分でもどうしようもなく」不機嫌になるときがありますね。
もちろん、男子は保健体育の授業で女子の身体のことを一応勉強して知っているので、「月に1回くらい、彼女がわけもなく急に不機嫌になっても、それはそれでしかたのないことだ」と思っていますよ。
でも、理性ではそうわかっていても、女子に急に不機嫌になられたら、男は怖くて怖くてどうしようもなくなるのです。
え! おれ、彼女になんか悪いことしたっけ? などと焦りまくるのです。
それだけならまだしも、急に不機嫌になった彼女に「もうあなたのことなんか好きでもなんでもない! ほかの男子と付き合うから!」などと言われた日には地獄なわけですよ。
なぜ地獄かといえば、急だからです。
男子は、女子の急な心変わりに、死ぬ思いで耐えているのです。
なので、西野カナちゃんがいかにかわいい顔と声で「あたし、急に不機嫌になることがあるけど、そこんとこ、よろしく!」などと歌っても、「え? ちょっ! ちょっと待ってよ」と思うのです。
2. 旅行にディナー……俺、金がないんすけど
西野さんは、女子のホンネをかわいらしい顔と声で歌い続けますが、歌の終わりの方で、ぜんぜんかわいくない要求をしてきます。
――たまには旅行に連れて行ってよね! 記念日はちょっとしたレストランでディナーしようね! そんときは、かっこよくエスコートしてよね!
ため息が出ます。
いえ、もちろん、世の男子たちは、大好きな彼女と一緒に旅行に行きたいと思っているんですよ。夏休みには彼女と一緒に温泉でも、と思ったりするんですよ。温泉どころか、グアムに彼女と行きたいなあと思ったりするんですよ。
彼女の誕生日には、ちょっとしたレストランで食事をしたいとも思うんですよ。
でもそれを、付き合う前に、かわいい顔でしれっと言うというのは、「金がない男とはわたし付き合えないんですけど宣言」しちゃってる女子……というふうに、男には聞こえてしまうのです。
まず経済力ありき、その次にルックス……みたいに、男を「値踏み」する女子みたいに思えてくるのです。
いえ、もちろん、彼女と旅行に行きたいと思うし、記念日にはおしゃれな飲食店で食事をと思いますよ。
でも、付き合う前にそれを言われてしまうと、「金、金言うなよ」と思ってしまうのが男なのです。
なぜか?
今の若い男子の平均給与を知っていれば、なぜだかわかりますよね?
年収300万でどうやって1泊2日の旅費を捻出するのか?
1泊2日の温泉旅行なんて、いまどき9800円っしょ? とあなたが思ったとしても、お土産を買うだの、ソフトクリームが食べたいだの、もろもろの彼女のリクエストに応えていたら、結局、諭吉3人に羽根が生えるのです。
年収300万。手取りで月18万。そこから諭吉3人が消えるのは、けっこうキツイです。ひとり暮らしならなおさら。
というわけで、どうやってちょっとしたレストランの飲食代を捻出するのか? 手品で万札を出さない限り無理なのではないか?
男子はそんなふうに思っているのです。
3. 男は「古くなったから」ほかの女子に目がいくわけではない
さて、最後。
西野さんは、男の痛いところを突くのがとてもうまくて、「わたしのことを『古い』と思うようになって、だれか他の女子に目移りしたときは」と歌います。
たしかに、男子って彼女に「飽きたら」よそ見する天才ですからね、西野さんのご指摘はごもっともです。
がしかし!
男って、彼女に飽きたから目移りするわけではないんですね。
飽きなくても目移りしているのです。つまり、つねに目移りしているのです。
それはなにも、隙あらば浮気しようとか、そういうことではありません。
男は、女という存在自体に、常に驚いていないと「まともに」生きられないのです。
街ゆく、胸の大きな女性を見ては、そのような胸の容量を持っている女性に驚き、自分に優しくしてくれた女性に対しては、そのボランティア精神顔負けの母性を持っている女性に驚き……というような具合で、なにかきっかけがあるたびに、女性の「存在そのもの」に驚くことで、「希望」を見出さなと生きるのが困難なのが男なのです。
だから「古くなる」ずっと前から、彼女は彼の目移りを心配したほうがいいです。
がしかし、目移りするというのと、彼女の愛をしかと受け止めるというのは、男にとってぜんぜん別の話なのです。
目移りしても、彼女の愛を真摯に受け止め、彼女と長くいい関係を構築する男子もいるし、そういう男子のほうが実は多いのです。
ネットの恋愛コラムは、書き手にとって書きやすいからか、わかりやすく浮気をする男子のことがよく取り上げられていますが、そういう男子はむしろ少数派で、大多数は、目移りしても、実は彼女のことをちゃんと(それなりに)愛しているのです。
そして「古くなった」とか「目移りするクセ」ではない、もっと別の理由で、男は彼女との別れを決意するのです。
その別の理由とは……と、ここに書こうと思ったのですが、なにもここで男の手の内をすべて明かす必要もないので、今回は書きません!
4. 恋慣れしているおじさんにしか叶えてあげられない夢
書きながらふと思ったのですが、西野カナさんが『トリセツ』を通して要求していることすべてを満たすことのできる男とは……恋慣れしているおじさんだけです。
それも、自営業とか、大企業の役員とかで、比較的、時間とお金に融通のきくおじさんだけです。
おじさんは精神的な余裕も持っているので、彼女のことを優しく扱うし、彼女が急に不機嫌になっても「耐性」があるからびくともしないし、「綺麗だね~」と言って褒めるのもうまいし、さらには、昭和の人間だから手紙を書くなんて朝飯前です。高校生のころ何通も書いてきたので、何通でも書けます。
西野さんが「こんな私だけど、どうぞよろしく!」と歌ったとき、心の底から笑顔で「こちらこそ、よろしくぅ!」と応えることのできるのは、おじさんだけなのです。
若い男子は……「わかるけど、ちょ、ちょっと待ってよ……永久保証って、それ、嬉しいけど、俺、金がないし……ホントは金の切れ目が縁の切れ目とか言うんじゃないだろね?」などと思うのです。
それがこの国の恋愛の実態。