クラフトビールの知識・サワー【モテ知識・お酒編】第8回目
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サワーってどんなビール? もちろん、焼酎を炭酸で割ったよく居酒屋にあるあのサワーではありません。
そう、なんとビールが酸っぱいのです。これはサワービールと言われるビアスタイルのひとつ。
酸っぱいと言っても爽やかなフルーツのような酸味から、悶絶するようなお酢のような酸味まで様々あります。(これは不思議なことに、サワービールにハマるとたまらなく美味しく感じるのです。)
まずはサワーの種類についてお話ししましょう。
1. ケトルサワー
サワーエールビールは大きく分けて2つに分かれます。乳酸菌などの酸を作る菌を用いて作られるケトルサワーと呼ばれるサワービール。
フルーツを同時に用いて発酵、熟成させるタイプも多く、フルーツフレーバーのシロップを入れたり、カクテルのようにとても飲みやすくしたものもあります。
ケトルサワーの種類のひとつのゴーゼというスタイルのビールはとてもユニーク。何と塩分を効かせてます。
ゴーゼはゴスラーというドイツの中央にある町の伝統的なビールで、ヨーグルトに似た酸味があり、軽い飲口で、塩気があります。小麦を多く用いる事で軽さを出し塩とコリアンダーが入っています。
ホップの苦味はさほど強くなくドリンカブルなビールです。起源は10世紀ごろ。ドイツで鉱脈が発見され、大規模な採掘が行われていました。
大量の汗をかく鉱山労働者にとってミネラル分と水分を補うのに最適なビールが、ゴーゼでした。
スポーツ飲料のような立ち位置だったのでしょう。よく晴れた夏の暑い日にこのビールの飲むと身体に染み入る美味しさです。
2. ランビック
そしてもう一つのサワービールは自然酵母を使うもの。ベルギーのランビックがこれに当たります。
クラフトビールに興味がでてきた方なら、ランビックという言葉を聞いた事がある人も多いのではないでしょうか?
空気中に自然に存在している菌をそのまま取り入れビールを発酵させる方法です。普通のビールはタンクの中で発酵させますが、ランビックは大きくて浅い蓋のない容器や樽で発酵します。
空気中の菌は様々あり、醸造の場所を変えたり、容器を変えたり、掃除をしたり、壁にペンキを塗っただけでも菌の質が変わって、ビールの味わいも変わってしまいます。
ですから歴史あるランビックの醸造所は蜘蛛の巣さえそのままです。自然発酵する事により、野性的なフレーバー、繊細な味わいを出す事ができます。
自然発酵によりとても美味しいビールも出来ますが、少し間違えると飲めないものも出来てしまいます。かなりリスクが高いと言えます。
『ラ シリーネ』と言う、オーストラリアの自然発酵だけをさせている醸造所では、3人のブルワーがいてその中の1人でも好ましくない味だと思った場合、全てを破棄していまいます。
しかし、彼らの優雅で華やかなフレーバーのビールは大変人気があり世界中にファンがたくさんいます。
3. サワービールの魅力
ランビックはこの自然発酵をさせたものの代表格ですが、ブリュッセルの南西、パヨッテンラント地域のみしかランビックと名乗る事ができません。
フルーツが入っているものも多く、チェリーやラズベリー、ピーチや杏子などです。ランビック特有の酸味とフルーツの甘味が一体となった飲みやすいタイプと言えます。
グーズと呼ばれるビールは若いランビックと3年ほど熟成させたランビックをブレンドし、またさらに発酵させるスタイル。
グーズは瓶詰め後、さらなる発酵でできた炭酸ガスにより、細かな炭酸があるのが特徴です。よく、麦のシャンパンとも呼ばれます。華やかなお祝いの席に最適ですよ。
そして、日本でもよく作られるようになったバルリーナ ヴァイセ。ドイツの北の地方の伝統的なサワースタイルです。度数が低くて小麦が入っている少し濁りのあるビールです。
今はいろいろな作り方がありますが、伝統的な作り方はウォート(ビールになる前の液体)を沸騰させない事でいろいろな菌が入ってビールが自然に酸っぱくなりました。
ドイツではバルリーナ ヴァイセに甘いシロップを入れ飲みやすくしています。最近アメリカや日本で作られているものはフルーツやハーブが入っているものが多いのでシロップは加えずそのまま楽しんでみてください。
それでも酸っぱいビールには抵抗があるなと言う方にオススメなのがサワーIPAと言うスタイル。
ホップの苦味と爽やかなアロマとケトルサワーが合体したハイブリッドタイプ! なんだか、凄そうでしょう?
これは酸味と苦味が上手くミックスされていてIPAが好きな人向けの爽やかな酸味のビールです。
サワービールの魅力にハマるともう他のビールでは物足りなくなるほど、深い魅力があります。
ぜひ、いろいろなサワービールを試してみてください。