人生の一大イベント「結婚」。
結婚は本来、人生の中でもっとも幸せなイベントのひとつです。大切な人とこれからの未来を一緒に歩んでいく──
その喜びに胸が弾む一方で、なぜか苦しくなる、涙が出る、心が重くなる……。そんな“説明しがたい不安”に襲われる人は、実はとても多いものです。
周囲からは「幸せだね」「良かったね」と祝福されているのに、自分だけが沈んでいるような気がして罪悪感を抱くことさえあります。この複雑な気持ちの正体こそ「マリッジブルー(結婚前の心理的不安)」です。
今回は、マリッジブルーの原因と乗り越え方について解説します。
はじめに、マリッジブルーの原因について見ていきましょう。
人は大きな環境の変化に不安を抱く生き物です。
進学・転職・引っ越しと同じく、結婚も生活が大きく変わるイベント。意識していなくても心がストレスを感じ、「この決断は正しい?」「自分は大丈夫?」と揺れが生じます。
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結婚は“ロマンチックな出来事”であると同時に“契約”でもあります。
相手の人生を背負うような責任感がのしかかり、戸惑うことは自然な反応です。
結婚=制約、と感じる人は多いものです。
好きな時に好きなことをしていた独身生活と比較し、「結婚したら自分の時間は減る?」と不安を抱くのはよくあることです。
義両親との付き合い、親戚づきあい、将来の同居問題──。相手の家族との関係は、結婚生活を左右する大きなテーマです。
「うまくやっていけるだろうか?」という不安がマリッジブルーの引き金になりやすいです。
式や披露宴の準備、招待客リスト、予算の調整など、やることは盛りだくさん。
パートナーとの意見の違いが出やすく、「価値観が合わない?」と感じてしまうことも。
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結婚に際し、このような迷いや悩みが生まれるのは、決して自分の意志が甘いからではなく、真剣に考えているからこそです。
相手への不満が増えたわけではなく、「一生この人と」という重みが不安を生むだけで、ごく普通の心理反応です。
マリッジブルーになると、次のような状態が起こりやすくなります。
・相手の家族の価値観が合わず、気疲れする
・友人からの結婚生活の愚痴を聞いて不安が膨らむ
・ふと「もっと他に合う人がいたかも」と考えてしまう
・結婚した途端に相手の短所ばかりが気になる
・“完璧な結婚生活”を想像してプレッシャーに押される
実は、これらのほとんどは 多くの人が通る道 です。マリッジブルーは“幸せになるための通過点”と言っても過言ではありません。
それでは次に、マリッジブルーを乗り越える方法について見ていきましょう。
漠然とした不安は、頭の中で増幅し続けます。
紙に書き出すことで、「何が不安なのか」「自分は何に苦しいと感じているのか」を客観的に整理できます。
これは「ジャーナリング」というテクニックで、「書く瞑想」とも呼ばれる思考整理法です。
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結婚は2人でつくる生活です。
「こういう部分が不安なんだ」と伝えるだけで、想像以上に理解してくれることは多いものです。
言葉にしないと伝わらず、誤解が生まれやすくなります。
式場プランナーに任せる、外注する、準備期間を延ばすなど、負担を軽減する工夫をしましょう。
「完璧じゃなくてもいい」と思えるだけで気持ちが軽くなるはずです。
ずっと結婚のことばかり考えていると視野が狭くなります。
趣味を楽しんだり、友人と会ったり、散歩したりなど、頭を休める時間を作って心を整えましょう。
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経験者に「私もそうだったよ」と言われるだけで安心できることがあります。
リアルな経験談は、気持ちの整理に大きな助けになるでしょう。
相手と出会った日、支えてくれた時、笑い合った瞬間──。
マリッジブルーの時は、小さな不安が大きく見えますが、心の軸を“相手への信頼”に戻すと揺れが落ち着きやすくなります。
マリッジブルーは、幸せな結婚をしたいと願うからこそ生まれる心の揺れです。
逃げるべきものではなく、むしろ未来に向けた大切な“心の整理”のプロセスと解釈しましょう。
・不安を無理に押し殺さない
・パートナーと分かち合う
・負担を減らしながら進む
・必要なら立ち止まる勇気を持つ
この姿勢が、結婚生活を長く続けるための強い土台になります。
幸せと不安が入り混じる時期は苦しく感じますが、その経験こそが「本当に安心できる関係」へとつながっていきます。
あなたの迷いも不安も、全部“幸せになりたい”という気持ちがあってこそのもの。落ち込む必要はないので、自分の心に正直に、無理せず少しずつ前に進んでいきましょう。
Written by はるお