疲労が溜まってくると、起き上がるのがつらかったり、体がだるくて動きたくなかったりという状態になることがありますよね。このような状態は、疲労が溜まれば正常な体の反応と言えます。
しかし、慢性疲労症候群になると、だるさや疲労感が度を越して生活に支障が出る状態になる場合があるのです。気力で治そうとしてもなかなか治らないため、適切な対処法を知っておくことが大切です。
この記事では、慢性疲労症候群の症状や対処法などを詳しく解説します。
まず、慢性疲労症候群とはどのような病気なのかを見ていきましょう。慢性疲労症候群とは、ある日突然全身の倦怠感に襲われ、耐えがたい疲労感が生じる疾患を指します。
主な症状としては、
・全身倦怠感
・強度の疲労感
・集中力の低下や筋力低下
・関節痛
・首のリンパ節の腫れ
・不眠・過眠
・微熱や頭痛
・脱力感や思考力の障害
・抑うつ
などが挙げられます。
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何とかしたいこの疲れ~慢性疲労症候群~CFS/症状/ストレス/治療
上記のような症状が長期間に渡って続き、社会生活が普通に送れなくなるケースが多いとされています。
アメリカの医学研究所などが提唱した慢性疲労症候群の診断基準では、
・発症時期が明確な慢性的な疲労に伴い、病前の就労・学歴・社会的・個人的な活動レベルから大幅な低下を6ヶ月以上継続している
・労作後に増悪する極度の倦怠感
・睡眠障害(熟睡感・回復感を伴わない睡眠)
が診断の必須条件とされています。
ただし、仕事や育児などで明らかに疲労の原因がはっきり分かっている場合は、疲労感が強くても慢性疲労症候群には当てはまりません。
一方、日本では1991年に厚生労働省の疲労調査研究班が、慢性疲労症候群の診断基準を参考に約4,000名の一般市民を対象に調査を行いました。
その結果、1/3を超える人が半年以上続く慢性的な疲労を感じており、日常生活や社会生活に支障をきたしていることが分かっています。
慢性疲労症候群は、それによって引き起こされる経済損失も多く、医学的にも経済的にも損失が大きい社会問題として捉えられているのです。
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慢性疲労症候群(chronic fatigue syndrome: CFS)とは
慢性疲労症候群は、発症のメカニズムがまだ解明されておらず、はっきりした原因が分かっていません。
しかし、日常的に体を酷使して生活している場合やホルモンなどの免疫系のバランスが崩れていることも少なくなく、そうした状況と慢性疲労症候群が発症するきっかけが重なると、症状が表面化しやすいとされています。
また、何らかの原因でウイルスが体内に侵入し、免疫物質が過剰に作られると脳の働きに影響を及ぼして、疲労感や倦怠感の発症につながる可能性が高くなります。
他には、特定の遺伝子異常が発症に関わっているという報告もあります。
いずれにしても、慢性疲労症候群は、さまざまな側面での要因が複雑に絡み合って、発症するケースが多いのです。
では、慢性疲労症候群の対処法について紹介しましょう。慢性疲労症候群は、原因がはっきり解明できていないことに加え、血液検査やCTなどの画像検査でも原因を特定するのが困難な疾患です。
そのため、根本的な治療を行う薬物療法では完全な対処ができないという特徴があります。しかし、現れている症状や慢性疲労症候群の引き金になり得る要因に対処し、症状を少しでも緩和することを目指します。
1つ目は、漢方薬などでの治療です。慢性疲労症候群の治療には「補中益気湯」(ほちゅうえきとう)という体の免疫力を高める漢方薬を使った対処方法が用いられるケースがあります。
また、抗酸化作用が高いビタミンCを摂取することで、体内の活性酸素の増殖を防ぎ、細胞の障害を防ぐ対応もなされます。
一方、うつ症状や免疫系の影響が大きい場合は、免疫調整剤や抗ウイルス薬を使った治療が行われる場合もあります。
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慢性疲労症候群に使われる漢方薬とは? | 【公式】元住吉駅前こころみクリニック 【内科・小児科・耳鼻咽喉科・婦人科】
何とかしたいこの疲れ~慢性疲労症候群~CFS/症状/ストレス/治療
2つ目は、カウンセリングでの治療です。慢性疲労症候群を発症した際、体が思うように動かせないもどかしさで、精神的に滅入ってしまう人も多くいます。
内科的治療に思うような効果が得られない場合は、医師やカウンセラーなどがカウンセリングをするときもあります。
日常的なストレスを吐き出すことで、慢性的に蓄積された精神的な負担を少しでも軽減する目的があります。
私たちは、無理をしすぎたり負担が大きくなったりすると、疲労感や倦怠感などで体からのSOSをキャッチできるようになっています。
しかし、慢性疲労症候群は、ある日突然前触れもなく強い疲労感や全身の倦怠感を感じるようになるため、実際に発症するとどうしたら良いのか分からなくなってしまうケースが多いのです。
原因が解明されていないため、根本的に完治に導く対処法は確立されていませんが、体本来の免疫力などを高める漢方薬や、精神的な苦痛を少しでも軽減できるようカウンセリングなどを活用しながら向き合うことが大切になります。
Written by 久木田(くきた)みすづ