週末婚に向いている夫婦と、週末婚のメリット・デメリットをご紹介します。
経済的にも精神的にも自立した夫婦に向いている結婚スタイルですが、それを継続するには、お互いの理解と努力が必要です。デメリットもありますが、選択肢の一つとして知っておくと良いでしょう。
『週末婚』とは、結婚はしていても平日は夫婦別々の家で暮らし、週末のみ相手と一緒に過ごす結婚スタイルのことをいいます。
1999年、松下由樹さん、永作博美さん、仲村トオルさん等のそうそうたる俳優陣がキャストで、内館牧子さんが脚本を手掛けた、テレビドラマ『週末婚』で広く知られるようになりました。
「私より不幸でいて」という1話のオープニングから最終話まで刺激の強い内容でしたが、週末婚という新しい概念のメリットもデメリットも世に広めたドラマでした。
昨今は、様々な結婚の形・家族の形があり、週末婚を選択する夫婦も増えています。子どもがいる者同士の再婚、熟年カップル、キャリアを続けたい方同士の結婚など、互いに自立した夫婦が一緒に過ごすためには、週末婚によって上手くいく場合もあります。
時代の変化により、家族の形を再考している方も多く、その選択肢の1つとして『週末婚』が改めて注目されています。
同居にとらわれないこの結婚スタイルが向いているのはどんなカップルなのか、という観点から、メリット、デメリットも併せて検証していきます。
実は週末婚のもともとの始まりは、転勤族の夫が単身赴任するという形での結婚生活でした。平日婚とも言われています。
子どもが転校しなくても済むように、また、妻が転勤先への同行によりキャリアを諦めたり、無理な転職をしなくて済んだりするように、夫だけが転勤先に行き、週末だけ妻と子どもが暮らす家に帰るという生活スタイルを選択するご家庭もあるでしょう。
夫婦の生活スタイルや家族の形式によっては、一緒に生活をしているより、週末婚を選択した方がお互い幸せに生活できる場合があります。決してスペシャルな夫婦だけでなく、一般的な生活スタイルの夫婦にも週末婚は向いていると言えます。
どんな夫婦に向いているのかを具体的に紹介いたします。
生活リズムの違うカップルにとっては、週末婚のほうがストレスを感じにくい場合があります。
例えば、妻は日勤メイン、夫は夜勤メイン、またはどちらかの帰宅が遅く、どちらかが早朝に出勤というように生活リズムがバラバラな夫婦は、週末婚を取り入れることでお互いのリズムを崩すことなく生活できます。
医師や看護師などが夜勤のある職業例としてあげられます。アパートやマンションの間取りによっては、相手の生活への影響も大きいでしょう。
ただ、生活リズムが違うというだけで週末婚にするのではなく、その他のメリットやデメリットを考慮した上で選択しましょう。
週末婚はお互いキャリアを積みたい共働き夫婦におすすめです。
仕事に打ち込みたい夫婦の場合、毎日の家事分担が負担になるケースが少なくありません。夕食の準備のために帰宅時間が気になり、帰って仕事をしたくても、たまった家事を片付けないと、といった家事の呪縛が少なからずあるでしょう。
どちらがどの家事を負担するかというのも、大変なストレスになります。
平日は心置きなく仕事に勤しみ、週末は夫婦でゆっくりと過ごせる週末婚は、そんな問題から解放してくれます。専業主婦・主夫の方の場合は、時間の過ごし方という点から週末婚が難しくなる可能性があります。
週末婚は、子どもを作らないという選択をしているカップルにも向いている結婚スタイルです。
多様性が認められる時代ですが、子どもがいる家庭が週末婚を選択するのはまだまだハードルがあると感じる方が多いでしょう。どちらかが完全ワンオペ育児になるためです。
子どもがいない夫婦の場合は、互いの時間をより楽しみ、いつまでも新鮮でいられるために、選択肢にあがるのではないでしょうか。
また、子育てを終えた夫婦も、自分の時間を楽しむという点で、週末婚という生活スタイルを視野に入れてみるのもよいでしょう。
週末婚の考えは、通い婚やパートナー関係というカタチで熟年カップルにも馴染みのあるものになってきています。
40代、50代以降の熟年で結婚した場合、お互い自分のスタイルで生きてきた時間が長いため、一緒に長く時間を過ごすことがストレスになる場合があります。週末婚がいいと提案してみるのも解決策の一つになるでしょう。
また、長年連れ添った夫婦でも、子どもが手を離れ急に二人だけの生活になったり、夫が定年を迎えて家での時間が長くなったりすることでストレスを感じる場合があるでしょう。連れ添っていても、これらのストレスの蓄積で、離婚につながるケースもあります。
お互いのやり方を尊重しながらも一緒の時間を楽しめる週末婚は、熟年カップルのよい選択肢と言えるでしょう。熟年専用の結婚相談所や婚活パーティーでも週末婚の概念は広まっています。
ただし「お互いが元気なうちは週末婚にする」「介護が必要になったら週末婚はやめる」など、健康に関わるルールや期限を決めておくのがポイントです。
離婚後や死別後に連れ子で再婚をする場合、子どもへの影響を考えてすぐに同居をせずに、別居婚を選択する夫婦が増えています。
再婚する前に、再婚相手に会う機会を設けて子どもとの相性を確認していたとしても、再婚後に同じ家で家族として毎日一緒に生活するとなると話は別になります。
家族一人ひとりの幸せを考えると、必ずしも毎日一緒にいる選択がいいとも限りません。平日はお互いそれぞれの家で過ごし、週末だけ夫婦の時間を過ごしたり、週末だけ皆で集まって過ごしたりすることもできます。
互いの実家にもサポートをお願いする必要があるかもしれませんがその分のメリットはあります。週末婚を取り入れながら、適度な距離を模索してみてはいかがでしょうか。
一緒にいたくて結婚をしたのに、いつも一緒にいられない週末婚は、結婚する意味がない、住民票上だけの結婚になるのではないか、と思う人もいるでしょう。
ただ、夫婦それぞれの関係性や家族の形態によって、週末婚を選択することでメリットはあります。
週末婚といえば、平日は独身の頃とあまり変わらない自由を感じられる、恋人のような新鮮な気持ちのままでいられる、などが代表的なメリットとして思い浮かぶでしょう。
この他にも、お金や仕事への影響、家事分担など、週末婚でなければ得られないメリットはたくさんあります。では、実際にどんなメリットがあるのでしょうか。
結婚生活を何年も続けていくと、男女という関係よりは家族としての関係になってきます。また、相手がいることが当たり前と思うようになり、感謝の気持ちを忘れるなどお互いを思いやる気持ちも薄れてくるという悩みを聞くこともあります。
ちょっとしたことでのケンカも増え、最終的には会話がなくなることもあります。会う日数が限られている週末婚は、いつまでも初々しく、出会った頃のようなラブラブで仲良しな時期を保ちやすくなります。
相手がいることが当たり前ではないので、相手と一緒に過ごせる時間に感謝の気持ちを持つことができます。
そのため、新鮮さを忘れることなく、いつまでも恋人同士のような感覚で過ごすことができます。喧嘩が絶えなくなってしまった夫婦が期間限定で試してみると上手くいく可能性があるでしょう。
週末婚は生活にメリハリをもたらします。週末婚をすると、平日は自分一人で、週末は夫婦一緒に過ごすことになります。平日は仕事に打ち込んだり友人とあったり自由に過ごし、週末は二人で過ごすことにフォーカスできるので、はっきりと切り替えられます。
特にコロナのタイミングで在宅ワークが増えてきたので、二人ともずっと家にいる生活を送っている夫婦も少なくないはずです。そのため、結婚しながら、一人の時間も二人の時間も楽しめる、メリハリのある生活に憧れを抱く夫婦は多いのではないでしょうか。
お互いのキャリア、特に女性のキャリアを諦めずに済むのも週末婚の大きなメリットです。
厚生労働省によると、平成30年の労働力人口総数に占める女性の割合は 44.1%(前年差 0.4 ポイント上昇)と過去最高を更新しています。
結婚したら家庭に入るのは昔の話で、なんらかの方法でキャリアを続ける女性の方が多い世の中になりました。働き方も多様化して、昼間だけでなく夜遅くまで働く場合もあります。
お互いの生活スタイルが違う共働き夫婦は特に、生活スタイルの乱れが仕事に影響することも少なくありません。
週末婚を選択することにより、お互いに生活のペースに気を遣いすぎることなく仕事に集中することができます。
出典:厚生労働省
平日の家事の負担が減るのは週末婚の思いがけないメリットです。結婚をすると独身の頃より家事の負担が増えます。自分の好きなペースで生活をするわけにはいかず、仕事から疲れて帰り、どんなに面倒でも自分の分担分の家事はこなさなければなりません。
この負担は特に女性に降りかかってくることが多いですが、そのストレスの矛先は男性に向いてしまうのも事実です。
せっかくの週末も、作り置きや溜まった掃除に時間を取られ、疲れたまま終わる方も少なくないでしょう。週末婚だと、結婚後も独身時代のように暮らすことができるので、家事のプレッシャーや役割分担のストレスから解放されます。
週末婚をしている夫婦は、生活費を別にしている方が多く、それをメリットと感じています。パートナーと同居する場合に一番もめるお金の話は、「家賃や生活費をどちらのお財布から出すか」という家計の分担ではないでしょうか。
お財布を一つにすると貯金をしやすくなるとはいえ、お小遣いをもらう側に不満が溜まりがちです。
週末婚だと各々の家賃・光熱費・食費・交際費などが別々にかかってくるので、基本的にお財布は別々になります。稼いだ分を自分で管理することになるので、家計への自由度が高いと感じる方が多いです。
ただ、全く別にするのではなく、ある程度収支を報告しあったり、使い方の約束事を決めたほうが夫婦の財産として健全に維持できるので、週末婚を始める前に二人で相談することをおすすめします。
週末婚をすると、平日は独身の頃のように気楽だと感じる方が多いようです。
結婚は共同生活になりますので、独身と同じように自分のペースだけで生活をするということは難しいでしょう。しかし週末婚を選択すると、相手の生活リズムや価値観に左右されることなく、自分のリズムを維持ながらお互いにストレスを感じすぎることなく生活できます。
友人と出かけ、会社の飲み会などにも参加でき、終業後に趣味のスクールに通っても後ろめたさがありません。平日を独身時代のように自由に暮らせるのは週末婚の魅力でしょう。
お互いの生活スタイルを考え、そして尊重して週末婚という結婚スタイルにしたとしても、残念なことに、不満がでて離婚に至るケースもあります。
これは週末婚にしたことにより、相手の変化に気付きにくかったり、結婚した実感が湧きにくく強い信頼関係を築けなかったりするためです。
メリットも多い週末婚ですがデメリットは何でしょうか。
週末婚にした場合は結婚した実感が出にくいようです。そのため夫婦であるという運命共同体感がお互いに育ちにくいといえます。
籍をいれても、生活スタイルが変わらないため結婚したという感覚があまりないためです。新婚気分を味わいにくく、妊娠希望の方はタイミングにも苦労する可能性があります。赤ちゃんが生まれ育児をするタイミングで、週末婚の継続を見直す必要があるでしょう。
また、結婚した実感が出にくいことでほかの異性へのハードルが下がる人もいます。実際にそうなっても気づきにくい点もデメリットです。
以上により、週末婚を始める前にこれからの家族計画や人生設計をきちんと話しておくことで結婚をしたという意識を持ち、夫婦のコミュニケーションを怠らないことが週末婚を続ける秘訣だと言えます。
週末婚は同居婚よりも出費がかさむことが多いです。住む場所が二か所になるのでその分生活費が二倍になるなどお金がかかります。
将来のことを考えて貯金をしようとしてもお互いに生活費がかかるため、貯金ができないことも考えられます。また、財布が別なためお互いの年収や経済状況も分かりにくく、過度な無駄浪費や、極端な例では借金があっても気づきにくいでしょう。
生活費だけでなく、週末に会うための交通費、たまに会える休日には贅沢したいと旅費が増えるパターンもあります。以上のことから、週末婚を考えるならばお金の面でお互いがそれなりに経済力を必要とします。
結婚していてもそれぞれが世帯主になれば、互いの会社で家賃補助がでるところもあるので活用するのも一つの手です。また、お金を使う範囲や貯金額のルールは週末婚を始める前にある程度決めておくのがよいでしょう。
週末婚のメリットでもある自由さはときにデメリットにもなります。週末以外のお互い自由に過ごしている時間に、相手が何をしているのかわかりにくく、不安になるためです。
これは遠距離恋愛のカップルが持つ不安に似ています。何をしているのか一から状況説明するのもだんだん億劫になり、次第にコミュニケーションが減っていきます。
また、お互いに自立してる人同士であっても、会えない時間が長いと、自分は相手にとって意味のない存在なのかと気になってしまうものです。週末婚をするカップルにはこのような不安を解消するような努力が必要と言えます。
毎日一緒にいる夫婦に比べて週末婚の夫婦はコミュニケーション不足に陥りやすいです。一緒にいればできたリアルタイムでの相談や日々の出来事の共有などが週末婚ではなかなかできないため不便に感じます。
一緒に生活している夫婦と比較し、スキンシップやコミュニケーションの機会が減ってしまったり、相手の細かな気持ちの変化なども近くにいないため共有することに難しさを感じてしまったりする場面があるでしょう。
理想は、離れているからこそのこまめなコミュニケーションですが、自立しているからこそ難しい場合があります。
コミュニケーション不足の蓄積は、些細なことでも寂しいと感じさせ、誤解が生じやすくなります。夫婦円満でいるためにはお互い配慮する必要があります。
夫婦が一緒に暮らしていれば当たり前のことでも、週末婚では当たり前ではないことがあります。
経済的に共同生活をしている夫婦よりも負担は増えますし、日々のコミュニケーションが不足しがちになります。こうした問題を解決して週末婚という結婚スタイルを長く続けていくために、夫婦が気をつけるべきことはなんでしょうか。
週末婚をする夫婦は、互いに生活力がある者同士が向いています。平日はお互いに別々の場所で生活をするので、毎日一緒に生活をしている夫婦よりも生活費が高くなるためです。
また、自由なタイミングでコミュニケーションがとれないので、相手を信じて自分をコントロールできる精神力も必要です。
お互いに経済的に自立している共働きの夫婦ならば、それぞれの生活費の心配は少ないですが、そうでない場合は週末婚は経済的に厳しいと言えます。週末婚を始める際、まずは生活力から検討してください。
余計な出費を抑えるため、また、会いに行く口実にするためにも、家財道具を2世帯分用意しない堅実的なやり方もあります。
たまにしか使わないアイロンやゲーム機など共有している家具家電があればそれを借りるという理由で、平日に相手の部屋へ行き様子をうかがうことができます。
また、それを話題にして連絡を取り合うこともできます。半同棲の状況に似ているでしょう。できるだけ無駄な費用を抑える工夫をしましょう。
週末婚は週末にしか一緒にいられないので、お互いの情報を伝えるために、連絡頻度を意識しこまめに連絡を取る必要があります。
ただし、LINE(ライン)やメール、SNSの投稿からの情報だけで連絡を取り続けるのは控えましょう。文字だけでは伝わらない、声や表情を見て、肌に触れてこそわかることがあります。
LINEやZoom、テレビ付き電話も活用してみましょう。数日間連絡しないのもNGです。夫婦だから大丈夫、と連絡を怠るのはNGです。会わない時間が心の距離を広げてしまわないよう、意識してこまめに連絡をとりコミュニケーションを円滑にしましょう。
週末婚をしていても、平日に時々待ち合わせをして会うことがおすすめされています。なお、週末婚をしているので帰る家は別です。
週末婚という定義では会うのは週末だけと言われていますが、平日に時々約束をしてディナーをし、別々の家に帰ることで、一緒に過ごす時間に特別感がわきます。
夫婦の場合、週末だけでは十分なコミュニケーションをとることが難しい場合もあるでしょう。恋人と夫婦の違いは、お互いの人生に法的な責任が生じるかどうかです。時には夫婦として結論を出し、乗り越えていかねばならない人生の転機もあります。
このように、週末婚をしていても必要な時は会い、不足しているコミュニケーションを適宜埋めていくのが夫婦関係を続ける秘訣です。
今回は週末婚という結婚生活のスタイルについてご紹介しました。週末婚が改めて注目されている背景には、働く女性の増加があります。世間の結婚観に振り回されず自分らしくいられる選択をするための手段として週末婚があります。
そのため、週末婚をする際には、コミュニケーションをとり続けることや、お互いが自立し続ける努力が必要です。家事をしたくない、一緒にいたくない、夫の転勤についていきたくないというネガティブな理由だけで続けられるものではないことがわかりました。
デメリットもありますが、経済的に自立している共働きの夫婦にとって週末婚はお互いにストレスをためずに済むおすすめの結婚スタイルと言えます。
Written by 幸寿