SNS上でよく聞くようになった「子持ち様」「不妊様」「妊婦様」という言葉たち。耳にしたり目にしたりすることが増えたのではないでしょうか?
これらの「〇〇様」は、敬称としてでは無いことは明白ですよね。「何様のつもり?」の皮肉で「様」が使われているのです。
そんな近年誕生した新語についてお話ししていきます。
「子持ち様」は、会社で働く子育て中の社員が職場で特別扱いをされることにより、周りの社員の負担が増えるなどした時に使われます。
子育て中の社員が、子供を理由に急に休みをとったとき、休んだ社員の仕事は他の社員へ割り振られ、業務量が増えてしまいますよね。
この状況に不満を持つ人が子持ち社員に対し、批判や揶揄の意味を込めて「子持ち様」と言うようになったのです。
SNSから誕生した言葉ですが、「子供が熱で、同僚が急遽仕事を休んだ。子持ち様、人の迷惑考えてよ」などとポストされて有名な言葉となりました。
「不妊様様」は、なかなか子供を授かることができず、子供がいる人を妬んでしまっている女性に対して使われる言葉です。
「不妊治療をしているがなかなか恵まれない……」「2年くらい子作りを頑張っているのに子供ができない」と悩んだ挙句、子供のいる人に対して意地悪したり、悪口を言ったり……。
子どもに関する会話で周囲に必要以上に気を使わせるような言動も、『不妊様認定』されやすいので気をつけましょう。
「妊婦様」とは、妊娠を理由に人に迷惑をかけたり、傷つけたりする妊婦のことを言います。
妊娠中は、心身ともに大きな負担がかかっているので、優遇されるのは当然のことですが、「当たり前でしょ?」という態度が前面に出ている人は誰であろうと好まれませんよね。
周囲への気遣いがなくなってしまったり、妊婦と言う権威を振りかざして人に迷惑をかけていると、「妊婦様」と陰で言われるように。
妊娠を武器にまるで傍若無人な言動をとってしまう人が、妊婦様と言われてしまうので気をつけましょう。
子供の発熱などを理由に頻繁に仕事を休んでいると、どうしてもしわ寄せは周囲の同僚にいってしまいます。
仕方がない理由とは言え、何度も業務が増えて大変な思いをしていると、業務の肩代わりをした同僚は嫌な気持ちになってしまうでしょう。
迷惑をかけられたと言う意識が強く、子持ちの人に対し厳しい目を向けることとなるのです。
実は、少子化も子持ち様が嫌われる原因になっているのではないかと言われています。
子育てがどれだけ大変か、子供にどれだけ手がかかるか……。これは子育て世代しかわからない事実です。
職場でも子育て世帯が圧倒的に多ければ、子供のことで頻繁に休む人がいても仕方がないで済ませられます。
しかし、職場での子育て世帯が少数ならば、理解してくれる人は少なく、たくさんの人から反感の目を向けられてしまいます。
男女平等になったとは言え、まだまだ日本では仕事をするのは『男性が主流』という考えが大きいです。
「女性は家庭を守るもの」だと、多くの人が潜在的に認識しているのでしょう。その意識が残っている日本社会では、子供を理由に仕事を休むことは悪になってしまうのです。
子供が欲しいのにできないと、子供のいる人に対しどうしてもネガティブな感情が湧いてきてしまうでしょう。
もちろんすべての人がそうではありませんが、うらやましくて妬みの感情が出てきてしまうのも人間なのですから当然です。
妊婦に敏感になったり、他人の言動に過剰反応したり……。精神的に不安定な印象で、周囲からはちょっと怖いとすら思われてしまうことがあるのです。
子供が欲しいのに授かれないと、どうしても妊娠や出産、子育ての話題には敏感になってしまうものです。
その話題についていけないという事実に対して向き合うことができず、敵対心のようなとげとげしい言葉を言ってしまうことも。こんな態度は、周囲に気を使わせてしまいます。
「あの人の前で、子供の話題は厳禁」と言う暗黙のルールができてしまうでしょう。
こちらは何も悪いことをしていないのにひたすら気を使わなければならないなんて、やはり心地よい人間関係は築けません。
仕事を代わってもらうのも、優先座席に座るのも、何もかも当たり前。
優遇される方が当然だと言う態度は、まさに妊婦様です。いつでも誰に対しても偉そうで、感謝がなければ嫌われ者の末路が待っています。
もともと仕事ができないから注意されたのに、「妊婦だから仕方がない!」とマタハラを主張する……。
中には、こんなに扱いにくい妊婦の従業員が存在するのも事実です。このような態度は、明らかに権利意識が過剰になっている状態で誰からも嫌われてしまうでしょう。
SNSから誕生したと思われるこれらの言葉は、皮肉いっぱいですが確かに的を得ているかもしれません。
子持ち様や不妊様、妊婦様の大多数はまともな人たちであることに違いはないでしょう。
ただ、一部の人たちの過剰な言動が目を引いてしまうのです。そしてこれらの言葉は、少子化に伴い未来を担う子供達への理解が乏しくなってしまっている社会的な問題も、提起している気がしてなりません。
社会全体で変わっていくべき時期が来たからこそ、問題視されるようになってきたのかもしれませんね。子育て世帯の筆者としてはそんな期待を込めつつ、こちらの記事を締めくくりたいと思います。
Written by みなみ