長年連れ添った夫の不貞をきっかけに、人生が大きく変わった女性がいます。今回は、夫を略奪された一人の女性、A子さんのその後の歩みを紹介します。
結婚15年目のある日、A子さんは夫のスマートフォンに残っていたメッセージから、不貞の事実を知ることになりました。真っ先に込み上げてきたのは怒りではなく、「まさか自分の身に」という戸惑いだったと言います。長年連れ添った相手であるほど、現実として受け止めるまでに時間がかかるものなのでしょう。その戸惑いが少しずつ落ち着いてくると、ようやく悲しみや怒りといった感情が追いついてきた、とA子さんは振り返ります。
半年後、A子さんは離婚を選び、夫と距離を置く生活を始めました。夫中心だった生活から離れたことで、これまで後回しにしていた仕事や趣味に向き合う時間が生まれていったといいます。「最初はどん底のような気持ちでしたが、一年ほど経った頃には、自分でも驚くくらい穏やかに毎日を過ごせるようになっていました」とA子さんは話します。
一方で、共通の知人を通じて伝わってきたのは、夫と不倫相手の関係が長くは続かなかったという話でした。不貞という形で始まった関係だからこそ、互いへの信頼を築きにくかったのかもしれない、とA子さんは感じたそうです。一度裏切りを経験した相手だからこそ、今度は自分が裏切られるのではという不安が、強かったのでしょう。
一方のA子さんは、この一年で新しい仕事に本格的に打ち込むようになり、以前からやってみたかった小さな教室を開くまでになりました。人づてに聞いた話では、当時を知る友人たちの間で「今のA子さんの方がずっと幸せそう」と言われることも増えているそうです。略奪愛という出来事は、A子さんにとって大きな痛みを伴うものでした。それでも時間の経過とともに、自分自身の生き方を見つめ直すきっかけになったといいます。焦らず、自分のペースで気持ちを整理していくことが、何よりも大切なのかもしれません。
Written by 佐和